家の解体と補助金

空き家は更地にして売るか古家付きで売るか 住宅用地の特例・3,000万円控除・契約不適合責任

内容の確認日: 2026年11月4日

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空き家を更地にして売るか、古家付きで売るかは、税金、売主の責任、解体費用の負担の3つで比べます。どちらが有利かは、土地の状態と売る時期で変わり、一律には決められません。

確かめる条文と制度は、地方税法349条の3の2の住宅用地の特例、国税庁が説明する相続空き家の3,000万円特別控除、民法562条以下の契約不適合責任です。解体費用を誰が払うかは、法律が決めるものではなく、売買契約で決める事項です。この記事は一般的な情報で、個別の判断は不動産会社、税務署、税理士、弁護士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。

更地と古家付きの違いを並べる

建物が取り壊されたあとの広い更地
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)

売り方によって何が変わるかを、表にまとめます。

表は左右に動かして読めます。

項目更地にして売る古家付きで売る
解体費用売主が解体して引き渡す形なら、売主が先に払う。売買代金に反映させるかは交渉で決める。売主が払わない形にできる。買主が解体するなら、買主の負担になる。
固定資産税1月1日に家がなければ、住宅用地の特例が外れる。家が住宅として残っていれば、特例の対象になりうる。
3,000万円控除要件を満たせば使える。解体後の使い方に条件がある。要件を満たせば使える。取壊しか耐震基準への適合の期限がある。
契約不適合責任土地の種類・品質・数量が対象。建物も売買の目的物に含まれるため、建物の不具合も対象になりうる。

この表は、法令や国税庁の説明から整理した一般論です。相続した家か、昭和56年5月31日以前の建築か、売るのがいつか、で表の中身は変わります。次の節から、それぞれの根拠を確かめます。

固定資産税は住宅用地の特例で変わる

木造の家の隣にある時間貸し駐車場
写真: Miquel Ràmia / CC BY-SA 2.0(Wikimedia Commons)

地方税法349条の3の2は、専ら人の居住の用に供する家屋などの敷地になっている土地(住宅用地)について、固定資産税の課税標準を、価格の3分の1にすると定めています。そのうち面積が200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)は、6分の1です。ただし、空家法の勧告を受けた特定空家等と管理不全空家等の敷地は、住宅用地から除かれます。

課税は毎年1月1日の状態を基準にします(地方税法359条)。年の途中で解体しても、その年度の税額は変わりません。解体を終えて、家がない状態で1月1日を迎えると、土地は住宅用地として扱われなくなります。解体を急いで年内に済ませると、売れないまま翌年度の税額が上がる可能性があります。

どれだけ上がるかは、負担調整の仕組みでも変わります。計算の考え方は固定資産税の記事で説明しています。具体の額は、市区町村の資産税の窓口で試算してもらうのが確実です。

古家のまま持ち続ける場合は、別の面も見ます。放置されて傷んだ空き家は、特定空家等として勧告を受けると特例が外れます。さらに命令、代執行と進むと、解体の費用を請求される場合があります。手順は行政代執行の記事にまとめました。売れるまでの間の管理も、売り方を決める要素になります。

3,000万円控除の要件と売り方

税務署の建物
写真: Miyuki Meinaka / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

相続した空き家を売るときの3,000万円の特別控除は、国税庁のタックスアンサー(No.3306)に説明があります。ページの記載から、主な要件を整理します。

  • 家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
  • 区分所有建物の登記がされていないこと。
  • 相続の開始の直前に、被相続人以外に居住していた人がいなかったこと。
  • 平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡であること。
  • 相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
  • 売却代金が1億円以下であること。

控除額は最高3,000万円です。令和6年1月1日以後の譲渡で、相続人が3人以上のときは2,000万円になります。

売り方で変わる要件は次のとおりです。

  • 取壊し後に土地を売る場合: 相続の時から取壊しの時まで、家屋を事業、貸付け、居住に使っていないこと。相続の時から譲渡の時まで、敷地も使っていないこと。取壊しの時から譲渡の時まで、建物や構築物の敷地として使っていないこと。
  • 家屋を残して売る場合: 相続の時から譲渡の時まで、事業、貸付け、居住に使っていないこと。さらに、譲渡の時から譲渡の年の翌年2月15日までに、一定の耐震基準を満たすか、家屋の全部の取壊し等を行うこと。このうち取壊し等を選べるのは、令和6年1月1日以後の譲渡に限られる。

国税庁のページには、誰が取り壊すかの記載がありません。買主に取り壊してもらう売り方を考えるときは、契約の書き方を含めて、税務署か税理士に確かめます。更地にしてから売る場合は、売るまで駐車場などにしないことも要件に関わります。確認書の取り方や、解体と売買の順番は、相続した空き家の3,000万円特別控除の記事で詳しく説明しています。

契約不適合責任と売主の備え

夕暮れの住宅地
写真: 些細な日常 / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

売買の目的物が、契約の内容に合っていないとき、売主は責任を負います。民法の条文は次のとおりです。

  • 562条: 引き渡された目的物が種類、品質、数量に関して契約の内容に適合しないとき、買主は修補、代替物の引渡し、不足分の引渡しによる追完を請求できる。
  • 563条: 買主が相当の期間を定めて追完を催告しても追完がないときなどに、不適合の程度に応じて代金の減額を請求できる。
  • 564条: 損害賠償の請求や契約の解除も妨げられない。
  • 566条: 種類または品質の不適合について、買主が知った時から1年以内に売主に通知しないと、請求できなくなる。ただし、売主が引渡しの時に不適合を知っていたか、重大な過失で知らなかったときは別。

古家付きで売ると、建物が売買の目的物に入るため、雨漏りやシロアリなど、建物の不具合が論点になりえます。更地で売る場合は、土地の地中の状態などが論点です。地中から古い基礎やごみが出たときの扱いは、地中埋設物の記事にあります。

責任を負わない旨の特約をすることはできますが、限界があります。572条は、そうした特約をしても、売主が知りながら告げなかった事実は責任を免れないとしています。知っている不具合は、売る前に買主へ伝えます。

売主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合は、別の決まりがあります。宅建業法40条は、業者が自ら売主になる売買で、契約不適合の責任の期間を引渡しの日から2年以上とする特約を除き、買主に不利な特約を禁じています。個人が売る場合は、この規定の対象ではありません。

解体費用の負担の分け方

交差点から見た郊外の住宅地
写真: Peka / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

解体費用を誰が払うかは、売買契約で決める事項です。法律にひとつの決まりがあるわけではありません。考えられる分け方は、次のとおりです。

  1. 売主が解体して、更地で引き渡す。費用は売主が先に払い、売買代金に反映させるかを交渉する。
  2. 古家付きのまま売り、買主が解体する。費用は買主の負担になり、その分を考えた価格にするかを話し合う。
  3. 引渡しの前に、売主と買主が費用を分ける。分担の割合と、解体の時期を契約書に書く。

どの形でも、書面に残す点は同じです。確かめる項目は次のとおりです。

  • 解体する人と、費用を払う人。
  • 解体の時期と、引渡しの時期の前後関係。
  • 建物を売買の目的物に含めるか。含める場合の責任の扱い。
  • 解体後に地中から何か出たときの扱い。
  • 3,000万円控除を使う場合に、要件を満たす順番と日付になっているか。

解体の費用の相場と内訳は、木造住宅の解体費用の内訳の記事に書いています。見積りは複数の業者から取り、工期の見込みも聞きます。売買の日程に影響するためです。

解体を決める前に、再建築ができる土地かも確かめます。接道の条件を満たさない土地は、解体したあとに建て替えられない場合があります。確かめ方は再建築不可の家を解体する前に確かめることに書きました。補助金が使える自治体もあります。申請の順番は解体の補助金の記事が参考になります。

出典

いずれも2026年11月4日に確認しました。

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