家の解体と補助金

アスベストの事前調査とは 解体前の調査・報告と発注者の役割

内容の確認日: 2026年11月3日

建物を解体するときは、石綿(アスベスト)が使われているかどうかの事前調査が法律で求められています。調査をするのは、発注者から工事を直接請け負う元請業者です。元請業者は結果を書面にして、発注者に説明します。

2022年4月からは、一定の規模の工事で調査結果の報告が義務になりました。2023年10月からは、建築物の調査を資格のある人が行う決まりです。発注者にも、調査の費用を適正に負担し、調査に協力する義務があります。この記事は一般的な情報で、個別の判断は都道府県や労働基準監督署の窓口、石綿含有建材調査者などの専門家にお願いします。内容は2026年11月3日に確認しました。

事前調査は誰が何をするのか

事前調査の決まりは、大気汚染防止法18条の15にあります。対象は、建築物などを解体、改造、補修する工事です。法律では、これを解体等工事と呼んでいます。

調査の条文には、床面積や請負金額の下限が書かれていません。小さな家の解体でも、調査そのものは必要です。次の節で説明する報告は、一定の規模以上の工事に限られます。調査と報告は分けて考えます。

重機で取り壊されるコンクリートの建物
写真: Inoueyukio / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

元請業者がすることは、次のとおりです。

  • 設計図書などの書面と目視で調査する。
  • 調査の結果を書面にして、発注者に交付し、説明する。
  • 調査の記録を作り、保存する。
  • 調査の結果を、工事の現場に掲示する。

石綿を含む建材があった場合、書面には、建材の種類、使われている場所と面積、除去などの作業の方法と期間も書かれます。業者を通さず自分で解体する人(自主施工者)にも、同じように調査の義務があります。

環境省のページも、調査の義務を負うのは元請業者か自主施工者だと説明しています。ただし、最後の節で見るように、発注者にも役割があります。

2022年4月から始まった調査結果の報告

環境省の発表によると、2022年4月1日以降に着工する工事から、調査結果の報告が義務になりました。報告をするのは元請業者か自主施工者です。

シートで覆われた解体中の建物
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)

報告が必要な主な工事は、次のとおりです。

  • 建築物の解体で、解体する部分の床面積の合計が80㎡以上のもの。
  • 建築物の改修で、請負金額が税込100万円以上のもの。
  • 工作物の解体や改修で、請負金額が税込100万円以上のもの。

報告先は2つあります。大気汚染防止法にもとづく都道府県等と、石綿障害予防規則にもとづく労働基準監督署です。国の石綿事前調査結果報告システムを使うと、2か所への報告を一度に済ませられます。システムは24時間使えて、パソコンやスマートフォンから入力できます。システムを使えないなどの事情で紙で出す場合は、2か所に別々に提出します。システムによる電子での報告は、制度が始まる前の2022年3月18日から受け付けていました。

80㎡は、解体する部分の床面積を合計した数字です。報告が必要な工事かどうかは、見積もりの段階で業者に確かめておきます。

2023年10月からは資格者による調査

厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトによると、2023年10月1日以降に着工する工事では、建築物の事前調査を資格のある人が行います。

宮古島に残る古い木造の建物
写真: aco pbc / CC0(Wikimedia Commons)
資格調査できる範囲
一般建築物石綿含有建材調査者すべての建築物
特定建築物石綿含有建材調査者すべての建築物。実地研修と口述試験が加わる
一戸建て等石綿含有建材調査者一戸建て住宅と、共同住宅の住戸の内部(共用部分を除く)

このほか、2023年9月30日までに日本アスベスト調査診断協会に登録された人も調査ができます。

一戸建ての解体なら、一戸建て等石綿含有建材調査者の資格でも調査できます。共同住宅の共用部分を含む場合は、一般か特定の資格が要ります。どの資格の人が調べるかは、契約の前に業者に聞いて確かめられます。

煙突やボイラーなど告示で定められた工作物については、2026年1月1日以降に着工する工事から、資格者による調査が求められています。どの資格が必要かは、元請業者に確かめてください。

調査の結果で変わる工事の進め方

元請業者が発注者に渡す書面の中身は、調査の結果によって変わります。大気汚染防止法18条の15の1項は、次の3つの場合に分けて書いています。

足場とシートで囲われた解体現場
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)
  • 石綿を含む建材(特定建築材料)がない場合: 調査の結果を説明する。
  • 特定建築材料がある場合(特定工事): 建材の種類、使われている場所と面積、作業の種類、期間、方法も説明する。
  • 届出対象特定工事に当たる場合: 上の事項に加えて、作業の方法が法律の定める措置どおりでないときは、その理由も説明する。

届出対象特定工事は、特定工事のうち、粉じんを多く出すとして政令で定められた建材にかかわる工事です。この工事では、発注者が作業を始める日の14日前までに、都道府県知事へ届け出ます(18条の17)。届け出る人が業者ではなく発注者である点に注意が要ります。

石綿が見つかると、除去の作業と届出の期間が工程に加わります。解体工事そのものにも、建設リサイクル法の届出(着工7日前まで)があります。工期は、調査の結果が出てから業者と決め直すと行き違いが少なくなります。

発注者がすることと確かめること

発注者の役割は、大気汚染防止法18条の15の2項に書かれています。元請業者が行う調査の費用を適正に負担すること、調査に協力することの2つです。

木造の建物を解体する重機と養生シート
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)

契約の前後に、次の点を業者に確かめておくと安心です。これは法令の決まりをもとにした確認の例です。

  1. 事前調査を誰が行うか。調査者の資格は何か。
  2. 調査の費用は見積書のどこに入っているか。
  3. 調査の結果を書面で受け取れるか。
  4. 石綿が見つかった場合、除去の費用と工期はどう変わるか。
  5. 都道府県と労働基準監督署への報告を、いつ済ませるか。
  6. 届出対象特定工事に当たる場合、発注者の届出を誰が準備するか。

調査の結果の書面を受け取ったら、石綿があるかないかと、その判断の根拠を確かめます。書面調査だけで済ませたのか、現地で目視したのかも、書面から読み取れるはずです。分からない点は、工事が始まる前に業者に聞いておきます。受け取った書面と見積書は、工事が終わるまで一緒に保管しておくと、あとで照らし合わせやすくなります。

調査と除去の費用の目安は、解体費用の内訳の記事でまとめています。自治体によっては、補助の対象経費にアスベストの調査や除去が入ることもあります。例は補助金の記事で紹介しました。

出典

いずれも2026年11月3日に確認しました。

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