家の解体と補助金

解体費用は税金の経費・控除になるか 譲渡費用・賃貸物件の取壊し損失・相続税の債務控除

内容の確認日: 2026年11月4日

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解体費用が税金の計算で役に立つかどうかは、取り壊した目的で分かれます。土地を売るために建物を取り壊したなら、取壊し費用は譲渡所得の計算で「譲渡費用」にあたります。賃貸している建物を取り壊したなら、不動産所得の計算で損失を経費にできる場合があります。

一方、相続税の債務控除は、亡くなった人に死亡時点で存在した債務が対象です。相続のあとに契約する解体工事の費用は、国税庁のページを読む限り、この対象には入りません。この記事は国税庁のページに書かれていることだけをまとめた一般的な情報で、個別の判断は税務署や税理士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。

使い道ごとの扱い

国税庁のタックスアンサーで確かめた内容を、表にまとめました。

名古屋北税務署の庁舎
写真: 円周率3パーセント / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

表は左右に動かして読めます。

場面税金の扱い国税庁のページ
土地を売るために建物を取り壊した取壊し費用と建物の損失額が譲渡費用に含まれるNo.3255
賃貸用の建物を取り壊した資産損失を不動産所得の必要経費にする。事業として貸しているかで上限が変わるNo.1373
相続税の申告債務控除は死亡時に現に存在した債務が対象。解体費用への言及はないNo.4126

自宅を取り壊した費用が所得税の控除になるかは、私が確かめた国税庁のページでは見つかりませんでした。書けないため、このあと触れません。

土地を売るための取壊しは譲渡費用

空き家を壊して更地にしてから売る場合です。国税庁のNo.3255は、譲渡費用の例のひとつに「土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額」を挙げています。根拠は所得税法33条と、所得税基本通達33-7から33-8とされています。

建物が取り壊されたあとの広い更地
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)

譲渡費用は、土地や建物を売るために直接かかった費用です。No.3202では、譲渡所得の金額を次のように計算します。

  • 譲渡所得の金額 = 売った金額(収入金額) − 取得費 − 譲渡費用。

No.3255が挙げる譲渡費用の主なものは、次のとおりです。

  • 土地や建物を売るために支払った仲介手数料。
  • 印紙税で売主が負担したもの。
  • 貸家を売るため、借家人に明け渡してもらうときの立退料。
  • 土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの、取壊し費用とその建物の損失額。
  • すでに売買契約を結んでいる資産を、さらに有利な条件で売るために支払った違約金。

No.3202には、測量費も譲渡費用の例として出てきます。取得費は、購入代金や購入手数料に改良費などを加えた額です。建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。取得費が分からないときや、実際の取得費が譲渡価額の5パーセントより少ないときは、譲渡価額の5パーセントを取得費(概算取得費)にできます。

注意点が2つあります。ひとつは、売るための取壊しであることが前提だという点です。もうひとつは、修繕費や固定資産税など、資産の維持や管理のための費用は譲渡費用にならないという点です。売る予定がないまま壊した費用は、この項目にあたるのか分かりません。税務署に確かめてください。

相続した空き家を売るときの3,000万円の特別控除は、別の制度です。条件は3,000万円特別控除の記事で説明しています。

賃貸している建物を取り壊したとき

アパートや貸家を取り壊した場合は、不動産所得の計算になります。No.1373は、賃貸用の固定資産の取壊しや除却による資産損失を、次のように扱うと書いています。

2階建てのアパートと敷地内の駐車場
写真: MC MasterChef / CC BY-SA 2.5(Wikimedia Commons)
  • 不動産の貸付けが事業として行われている場合は、その全額を必要経費にする。
  • 事業に至らない場合は、その年の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額が上限になる。

事業として扱われるかの目安も、同じページにあります。貸間やアパートなら独立した室数がおおむね10室以上、独立家屋の貸付けならおおむね5棟以上です。目安に満たなくても、社会通念上事業と称するほどの規模かどうかで、実質的に判断されます。

ここで経費になるのは「資産損失」です。取壊しにかかった工事費そのものを、どの項目に入れるかは、私が確かめた国税庁のページには書かれていませんでした。申告のときに税務署か税理士へ確かめます。

相続税の債務控除にはならない

親が亡くなったあとに、相続した家を壊す場合です。相続税の債務控除について、国税庁のNo.4126は、控除できる債務を「被相続人が死亡したときに現に存在した被相続人の債務(借入金や未払金など)で確実と認められるもの」と説明しています。

水戸税務署の庁舎
写真: Miyuki Meinaka / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

相続のあとに業者と契約する解体工事の費用は、亡くなった時点にはまだ存在しない費用です。この文言からは、債務控除の対象に入らないと読めます。No.4126には取壊し費用の記述がありません。

葬式費用についても、No.4129が控除できるものとできないものを挙げています。控除できるのは、火葬や埋葬、納骨の費用、遺体や遺骨の回送費用、お通夜など通常必要な費用、お寺へのお礼などです。控除できないのは、香典返し、墓石や墓地の購入費用、初七日などの法事の費用です。解体費用は、どちらにも出てきません。

迷ったときの確認先

税金の扱いは、売るのか、貸しているのか、相続の途中なのかで変わります。迷ったときは、次の順で確かめます。

江戸川北税務署の庁舎
写真: Higa4 / CC0(Wikimedia Commons)
  • 国税庁のタックスアンサーで、自分の場面にあたるページを読む。
  • 見積書と契約書、領収書を保管する。税務署に聞くときも、申告の根拠になるときも、工事の内容と金額が分かる書類が必要になります。
  • 税務署の窓口か、税理士に相談する。

解体したあとの土地の固定資産税は、固定資産税の記事で説明しています。解体費用の支払いに困るときは払えないときの記事を、補助金は補助金の記事を読んでください。

出典

いずれも2026年11月4日に確認しました。

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