家の解体と補助金

相続した空き家を解体して売るときの3,000万円特別控除 昭和56年5月31日以前の家屋と確認書の取り方

内容の確認日: 2026年11月4日

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相続した空き家を解体して土地を売るときは、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。租税特別措置法35条3項の「被相続人居住用家屋の取壊し等の場合の特例」で、国税庁のタックスアンサーでは No.3306 に載っています。令和6年1月1日以後の譲渡からは、売ったあとに買主が取り壊す場合も対象に入りました。

特例は、解体の順番と日付で当てはまるかが決まります。解体の契約の前に、家屋の建築年と、市区町村が出す「被相続人居住用家屋等確認書」の取り方を確かめます。この記事は一般的な情報で、個別の判断は税務署や税理士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。

3,000万円の特別控除を使える条件

庭に囲まれた木造の平屋住宅
写真: lumoplank / CC0(Wikimedia Commons)

特例を使える期間は、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡です。条文と国税庁の説明を合わせると、条件は家屋、売り方、金額の3つに分かれます。

家屋の条件は次のとおりです。

  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
  • 区分所有建物の登記がされていないこと(マンションは対象外)
  • 相続の開始の直前に、被相続人が住んでいたこと
  • 被相続人のほかに、その家屋に住んでいた人がいなかったこと

老人ホームなどに入っていた場合は、一定の条件のもとで、入る直前まで住んでいた家屋が対象になることがあります。国税庁の No.3307 で確かめます。

売り方と金額の条件は次のとおりです。

  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売った代金が1億円以下であること
  • 相続から売るときまで、事業、貸付け、居住に使っていないこと
  • 配偶者や親子など、特別の関係がある人への売却ではないこと

相続人が3人以上のときは、令和6年1月1日以後の譲渡で、控除額の上限が2,000万円になります。1億円の判定は、分けて売った分や、ほかの相続人が売った分も合わせて行います。

固定資産税の面は家を解体すると固定資産税はどう変わるかで説明しています。この記事は、譲渡所得の特例に絞ります。

解体して売る場合に守る順番

建物のない広い空き地
写真: JunK / Public domain(Wikimedia Commons)

国税庁の説明では、家屋を取り壊したあとに敷地を売る場合、次の要件が加わります。

  • 家屋は、相続の時から取壊しの時まで、事業、貸付け、居住に使われていないこと
  • 敷地は、相続の時から譲渡の時まで、事業、貸付け、居住に使われていないこと
  • 敷地は、取壊しの時から譲渡の時まで、建物や構築物の敷地として使われていないこと

つまり、解体のあとに建物を建てたり、構築物を置いたりすると、特例を使えません。更地のまま売ります。駐車場にするなどの使い方が、構築物の敷地にあたるかは、売る前に税務署へ確かめてください。

令和6年1月1日以後の譲渡は、もう一つの形があります。家屋を残したまま売り、売った日の翌年の2月15日までに、家屋の全部の取壊しか、耐震基準への適合をする形です。国税庁の説明では、この場合も、相続の時から譲渡の時まで事業、貸付け、居住に使っていないことが要件です。

この2つを並べると、次のようになります。

表は左右に動かして読めます。

形取壊しの時期主な注意点
解体してから売る売る前解体後は更地のまま売る。建物や構築物の敷地にしない
家屋のまま売る(令和6年1月1日以後の譲渡)売った日の翌年2月15日まで取壊しか耐震基準への適合を期限までに終える。契約で時期と費用の負担を決めておく

誰が取り壊すかについて、国税庁のタックスアンサーには、売主と買主を区別した記載が見つかりませんでした。買主に取り壊してもらう形を考えるときは、契約書の書き方を含めて、税務署か税理士に確かめます。

被相続人居住用家屋等確認書を取る

日野市役所の庁舎
写真: 根川孝太郎 (Kotaro Negawa) / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

確定申告には、市区町村長が出す「被相続人居住用家屋等確認書」を添えます。国税庁の説明では、相続開始の直前に被相続人が住んでいたことなどを、市区町村長が確認した書類です。取壊しの場合は、取壊しの時から譲渡の時まで建物などの敷地になっていないことの確認も入ります。

窓口は、家屋がある市区町村です。例を2つ挙げます。

  • 静岡市: 住宅政策課(空き家対策係)が受け付ける。交付は申請後10日ほど。様式は譲渡の形により1-1から1-3に分かれる(2026年8月17日更新のページ)。
  • 東京都中央区: 住宅課が受け付ける。区内の家屋に限る。交付は通常1週間から10日ほど。相続人が共有名義のときは、相続人ごとに申請書を作る(2024年5月29日掲載のページ)。

必要書類は自治体ごとに細かく違います。両市区のページには、書類の確認表が付いています。たとえば、次のような書類が求められる自治体があります。

  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人の住民票の写し
  • 取壊しを示す書類(建物の閉鎖事項証明書や解体工事の契約書など)
  • 電気・水道・ガスの閉栓日や、空き家として使われていたことを示す書類

この4つは大阪市東淀川区や大分市の確認表で確かめた例です。お住まいの自治体、または家屋がある自治体で、最新の書類を確かめてください。確認書は、特例が使えることの保証ではないと、中央区のページにも書かれています。

確認書の交付までには時間がかかります。譲渡の期限が近いときは、解体の工事を発注する前から、窓口に相談しておきます。

解体の費用と業者の決め方

木造の建物を解体する重機と養生シート
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)

特例で控除できるのは譲渡所得です。解体費用は、譲渡にかかった費用として、譲渡所得の計算に入るかを税理士に確かめます。解体の見積りを比べるときは、木造住宅の解体費用の内訳と解体業者の選び方が役立ちます。

日付が特例の要件になるため、見積りを取る段階で、工期と完了日を業者に聞いておきます。解体の完了と、売買契約の日の前後関係は、あとから動かせません。

確定申告の前に確かめること

図書館の机に置かれたMacBook(モノクロ写真)
写真: Ghost Presenter / CC0(Wikimedia Commons)

特例を受けるには、確定申告書に必要書類を添えて、税務署に出します。国税庁の説明にある主な書類は次のとおりです。

  • 譲渡所得の内訳書
  • 登記事項証明書(不動産番号の記載で省略できる場合あり)
  • 被相続人居住用家屋等確認書
  • 売買契約書の写し

売った代金の合計が、あとで1億円を超えた場合は、売った日から4か月以内に修正申告と納税が必要です。分けて売る予定があるときは、合計額に注意します。

次の順で動くと、日付の食い違いを避けやすくなります。

  1. 登記事項証明書などで、建築年(昭和56年5月31日以前か)を確かめる。
  2. 相続開始の日から、売却の期限(3年を経過する日の属する年の12月31日)を数える。
  3. 市区町村に、確認書の必要書類を問い合わせる。
  4. 解体してから売るか、家屋のまま売るかを決める。
  5. 解体の見積りと工期を確かめ、売買の日程を組む。

出典

いずれも2026年11月4日に確認しました。

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